ホキコレクション公開

バラ園のある私設美術館

 春秋のバラの季節になるとあすみが丘に住む美術愛好家にとって、楽しみなことがあります。ワンハンドレッドヒルズの保木さんの私設美術館で絵画のコレクションを鑑賞する機会があることです。

 「今回もあの絵に会えるかな」「しばらく見ていないあの絵もそろそろお出ましかなあ」「新しい逸品を購入されたかな」と期待して、伺います。バラの咲き競う前庭を通ってゆくと、入口でオーナーご夫妻ににこやかに迎えていただけます。訪れる人も年々多くなり、皆さんちょっぴりお洒落をして、この日ばかりは華やいだ雰囲気になっています。

オーナーは一部上場優良会社の会長、保木将夫さん

 この私設美術館のオーナーは保木将夫さんです。東証一部上場の優良会社、ホギメディカルの創立者で、現在同社の会長をなさっておられます。病院で使われる医療用の不織布製品を幅広く手掛けられ成功されました。

 私たちもその成功のお裾分けにあずかり、美術品の鑑賞の機会が与えられています。


 私たちもその成功のお裾分けにあずかり、美術品の鑑賞の機会が与えられています。

保木将夫さん

バラ園と美術館
美術館入口の飾り
集う人たち

スーパーリアリズム、細密画のコレクション

 コレクションは林 武などの往年の大家の作品、ブラマンクなど外国の作家のものもありますが、最近集められているのはスーパーリアリズムと呼ばれる写実派の現代作家が中心になっています。

 今回のご案内に使われたのは、Dario Campanileという画家の西瓜の静物画。日本の画家では、中山忠彦、野田弘志、森本草介らの70歳前後の写実派の大御所、生島浩、島村信之らの40歳代の若手作家の作品が多く集められています。いずれも細密に描かれたもので、時間と手間がかかったものが多く、一人の画家が、年に精々数作しか手掛けられないものばかりです。いずれも美術専門家や蒐集家の間では高い評価を得られているものです。

  今年も数点の新しい作品が加わりました。その中で一際目を引いている150号ほどの大作があります。 『Symptome』というこの作品は白日会で受賞したもので、作者は山本大貫さん。あすみが丘7丁目にご両親がおられ、現在武蔵美の大学院生だそうです。真ん中に横たわる女性の人物像に、静物と風景が組み合わせられたもの。保木さんは若い画学生たちにも理解を持っておられるように、感じました。

あすみが丘の住人にも、美術関係者にも公開

 この公開は地元あすみが丘の住民だけでなく、美術専門家や画学生たちの関心も高く、東京からも多くの愛好家が鑑賞に訪れています。

私の好きな3枚の絵

 私は素人の美術愛好家です。その立場からとくに印象に残っている作品について、感想を記します。いずれも女性を描いたスーパーリアリズムの作品です。

 まず、スーパーリアリズムの大御所の森本 草介さんの『刺繍をする女』。刺繍の針に集中して注がれる眼差しと指先の動きがいい。

 次に若手の島村 信之さんの『紗』。薄く透けた紗を通してみる女性の肌と静脈が透けて見えるような肌の透明感が素晴しい。

 三点目は同じく若手の生島 浩さんの「Card」。トランプカードを見つめる女性の眼差しと指先の動きが精緻に描かれています。一昨年この絵に初めて出会ったとき、オランダ・アムステルダム美術館で観た17世紀の画家・フェルメールの『牛乳注ぐ女』に通じるものを感じました。保木さんにお聞きすると、生島さんは長年、フェルメールの修復をしながら、勉強を重ねたとのことでした。

作品写真

五味 文彦「銀器とガラス器」

生島 浩「若い月」

 野田 弘志「牡丹紅白」

森本草介「初夏の頃」

島村信之「新緑」

石黒賢一郎「VISTA DE NAJERA」

板谷波山「茶?牡丹文」(陶器)

保木将夫さんにお聞ききしました

 保木さんが絵画の蒐集を始められたのは、10年ほど前からだそうです。始めは往年の大家の作品なども買い集めておられました。しかし、6年ほど前からスーパーリアリズムの現代作家の絵を集中して集めるようになったそうです。写実的な絵は分りやすく親しみが持てるというのが、スーパーリアリズムに重点を置くようになった理由とお聞きしました。

 「これからこの貴重な財産をどうされますか?」とお聞きしますと、「いま土気・あすみが丘地域に美術館の建設を申請中です。その許可が降りれば、いつでも皆さんに鑑賞を楽しんで頂けるようになります。」というありがたいお話が聞かれました。

 「とくにお好みの作品は?」との質問に対しては、「森本草介さん、野田弘志さんかな。いや、みんな好きですよ」とのご返事でした。保木さんは美術収集家としての確かな審美眼を持っておられるだけでなく、美術品の財産的価値を見定める経済人としての判断力も優れているとお見受けしました。

 ここに掲載した作品の写真は保木さんのご好意で許可して頂いたものです。感謝します。

(2007年6月、T.T.記)